概要
再就職手当は、基本手当(いわゆる失業保険)の受給資格がある方が、安定した職業に就いた場合に支給される給付金です。この「安定した職業」とは、雇用保険の被保険者となる職に就くことや、事業主として雇用保険の被保険者を雇う場合などが含まれます。再就職を促進するための制度で、一定の条件を満たせば、基本手当の残りの一部をまとめて受け取ることができます。
再就職手当の支給条件
再就職手当を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の受給資格があること
基本手当(失業保険)の受給資格を有していることが前提です。 - 所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
再就職時点で、基本手当の残り日数が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。 - 安定した職業に就くこと
再就職先が、雇用保険の被保険者となる職であるか、あるいは事業主として雇用保険の被保険者を雇う事業を営む場合に支給対象となります。 - 1年以上の雇用見込みがあること
再就職先で1年以上の継続雇用が見込まれることが条件です。 - 過去に再就職手当を受け取っていないこと
過去3年以内に同じ手当(再就職手当)を受け取っていないことが条件になります。
再就職手当の支給額
再就職手当の支給額は、次のように計算されます。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合
残っている日数の70%が支給されます。
計算式:支給残日数 × 70% × 基本手当日額
(ただし、基本手当日額には上限があります) - 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合
残っている日数の60%が支給されます。
計算式:支給残日数 × 60% × 基本手当日額
(こちらも基本手当日額には上限があります)
支給額の具体例
例えば、所定給付日数が90日で、そのうち30日間しか失業保険を受給していない場合、残りの60日分が再就職手当の対象となります。この場合、残日数が所定給付日数の3分の2以上あるため、60日分の70%が支給されます。具体的な金額は、基本手当日額に基づいて計算されますが、一定の上限が設定されています。
基本手当日額について
基本手当日額は基本的に過去に支払われた賃金をベースに決定されますが、退職後に残業代の未払い請求をし、当該残業代が支払われた場合は、その残業代が本来支払われるべきであった月に支払われたとみなして計算されます。これにより受給できる失業等給付の額も上がるので、正しい辞め方を実践しましょう。
申請手続き
再就職手当を受け取るためには、再就職が決まったら速やかにハローワークに報告し、手続きを行います。
- 再就職の報告
新しい職場が決まったら、最寄りのハローワークに連絡し、必要な書類を提出します(再就職した日の翌日から1ヶ月以内)。 - 申請手続き
必要な書類を揃えて、再就職手当の申請を行います。通常、再就職後1~2か月以内に支給が開始されることが多いです。
注意点
再就職手当を受給した後にすぐに辞めてしまっても返還の義務は無く、当該離職後に再度失業保険を受け取ることができますが、当然、再就職手当相当額(相当日数)分は減額されます。
ただし再就職先での継続雇用が1年以上見込まれないのに受給した場合は不正受給なり、返還等を求められる場合があるので気をつけましょう。
まとめ
再就職手当は、早期の再就職を支援し、生活の安定を図るための重要な制度です。再就職時の経済的不安を和らげるためにも、ぜひこの制度を活用や正しい辞め方を実践し、安心して新しい職場でのスタートを切りましょう。
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